家賃滞納の時効は何年?踏み倒しを阻止するには
■賃料の消滅時効は5年で完成する
消滅時効は、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき」または「権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」に完成します(民法166条1項1号・2号)。
賃料債権は支払期限が経過すれば当然に発生しますから、ここでは「債権者が権利を行使することができることを知った時」と「権利を行使することができる時」は一致します。したがって、家賃滞納の事例では、賃料の発生から5年が経過した時点で時効が完成することになります。
時効が完成しても債権が自動的に消滅するわけではありません。しかし、一度時効が完成してしまえば、債務者は何時でも時効を援用して債務を消滅させることができます(145条)。そのため、時効が完成する前に債権回収を図る必要があります。
■時効完成を遅らせて踏み倒しを防ぐ方法
時効には、完成猶予や更新という制度が定められています。完成猶予とは、一定期間時効の完成が妨げられることをいいます。これに対し更新とは、時効期間のカウントをリセットして0日からリスタートすることをいいます。
家賃の滞納がある場合には、まずは家賃を支払うように催告します。催告を行うことによって、その時から6カ月が経過するまで時効の完成が猶予されます(150条1項)。催告は、証拠に残る内容証明郵便の形式で行うのが一般的で会う。なお、催告を繰り返しても完成猶予の効果は繰り返さないとされているため(150条2項)、催告だけを延々と繰り返しても時効の完成を防ぐことはできません。
催告によって6カ月の完成猶予を発生させたら、債務者に未払賃料の存在を認めさせることが考えられます。債務者が債務の存在を認めた場合、債務の承認による時効の更新(152条1項)の効力が発生します。したがって、承認の時から5年が経過するまでは時効は完成しません。
債務者が債務の存在を認めない場合は、支払督促や訴訟の提起を行うことになります。支払督促や裁判上の請求を行うと完成猶予の効果が発生し、その手続きが終了するまで消滅時効は完成しません(147条1項)。なお、訴訟で勝訴判決が確定すれば、判決確定の時から10年間の消滅時効が新たに進行します(169条1項)。
なお、時効が完成してしまっても、その後で債務者が支払い猶予を申し出たような場合には、時効の援用ができなくなるとされています。
新緑虎ノ門法律事務所は、相続、不動産問題、債務整理など数々のご相談を承っております。
不動産問題でお悩みの方は、新緑虎ノ門法律事務所までお気軽にご相談くださいませ。
当事務所が提供する基礎知識
-
マンション購入前に確...
マンションは集合住宅であるため、さまざまな区分所有者の快適な居住環境の実現とトラブル防止のために、管理組合が存在し、管理規約が定められています。管理規約は個々のマンションで異なる取り決めをされていますが、区分所有法などの […]
-
共有不動産の分割の問...
■共有物の分割方法・共有物分割協議 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求できます。(民法第256条)不動産を分割したいと思った場合にはまず他の共有者に対して共有物分割したい旨の連絡をして共有物分割協議を行うようにしまし […]
-
不動産売買契約書の内...
一般的に、家屋や土地といった不動産は高価な財産ですので、個人間の取引であっても、不動産売買契約を締結する際には同時に不動産売買契約書を作成します。この際に、どのようなことに気をつければよいでしょうか。 ①売買不 […]
-
共有名義の不動産を売...
不動産は、複数人に所有権が帰属している「共有」という状態になっている場合があります。この場合、当該不動産は「共有名義」の状態になっています。そのため、共有者全員の同意を得られないと処分、つまり売却をすることができません。 […]
-
任意売却とは?自己破...
■任意売却とは?任意売却とは、住宅ローンの返済が難しくなった時に、住宅ローンの債権者に同意をとって、市場で不動産を売却することをいいます。通常は、ローンの残額の返済方法について合意を得、売却資金を元手にこれを支払います。 […]
-
手付解除するには
まず手付とは、売買契約や賃貸借契約といった有償契約において契約の際に代金・報酬の一部支払以上の意味を込めて当事者の一方から他方に交付される有価物をいいます。要するに、実際の契約で定められた額以上(10〜20%程度)の対価 […]
よく検索されるキーワード
-
エリアに関するキーワード
“相談しやすい弁護士”を目指しています
不動産売買・賃貸管理・建物に関する法律問題はお気軽にご相談ください。
常にご相談者の立場に立ち、親身に迅速に対応いたします。
弁護士紹介
-
- 弁護士
- 斉藤 潤(さいとう じゅん)
-
- 所属
-
- 東京弁護士会
-
- 経歴
-
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
事務所概要
事務所名 | 新緑虎ノ門法律事務所 |
---|---|
所属 | 東京弁護士会 |
弁護士 | 斉藤 潤(さいとう じゅん) |
所在地 | 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-11-14 第2ジェスペールビル202号 |
電話番号 | 03-3500-4366 |
対応時間 | 平日 10:00~18:00(事前予約で時間外対応可能) |
定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日対応可能) |