家賃滞納の入居者を強制退去するには
大家さんが家賃滞納のある入居者を追い出したいと思うのは、不思議ではありません。しかし、すぐさま法的な処理で入居者を強制退去させるのは難しいです。裁判を起こすにしても時間的・経済的なコストがかかりますし、入居者(借主)は借地借家法で厚く保護されているからです。そこで、入居者の強制退去には段階的な行動が必要になります。
①家賃滞納をしている入居者と話し合う
まずは入居者に対して家賃滞納そのものについて話し合うことが重要です。これで滞納していた家賃を支払ってくれればこれで問題はないです。要するに、話し合いで円満に事を荒立てずに解決することで、他の入居者に対しても不安感を感じさせないようになりますし、大家さんにとっても恩恵があります。なお、入居者が家賃を支払ってもなお強制退去させたい場合には、入居者との合意または入居者が退去するべき正当な事由があることが必要になります(借地借家法28条)。
しかし、家賃滞納が3〜4ヶ月続き、話し合いをしても応じない場合には、法的手続きを通して強制退去を行うしかないです。
②(連帯)保証人に滞納家賃の支払いを請求する
不動産の賃貸をしている場合、連帯保証人をつけている場合も多いです。そこで、債務者たる入居者が家賃を滞納し続ける場合には保証人に滞納家賃の支払いを請求することも考えられます。保証人に入居者の滞納家賃の支払いを請求することができるのは、入居者がその債務を履行しないときですから(民法446条1項)、まずは入居者に対して滞納家賃の支払いを請求しましょう。
③内容証明郵便を送る
内容証明郵便とは、自己が有している債権等の存在・内容を相手方(債務者)に知らせるための郵便です。これにより滞納家賃の支払い督促と支払いがない場合の契約解除の通知をすることができます。入居者が内容証明郵便を受けて、その内容に合意すれば万事解決ですが、合意に至らないときもあります。この段階で調停や訴訟など、裁判所を用いた強制退去が考えられますが、その際にもこの内容証明郵便は証拠として提出することができます。また、滞納家賃も法的には金銭債務として捉えられます。これが何を意味するかというと、滞納家賃を放置していたら時効にかかり、入居者が滞納家賃を支払わなくても良いことになってしまうということになります。
このように、入居者の債務の時効が完成しないために、支払督促は意義を有します(民法147条1項2号)。
③明け渡し訴訟を提起する
大家さんが家賃滞納の入居者に対して賃貸契約の解除及び滞納家賃の支払いを請求する旨の訴訟を提起することも大いに考えられます。裁判所の紛争解決制度には訴訟のほかに調停や仲裁などの制度がありますが、債務者を強制的に参加させ、裁判の判断に服せしめることができるのは訴訟のみです。訴訟で大家さんの請求が容認されると、賃貸物件の強制退去がなされることになります。
以上のプロセスで、家賃滞納の入居者を強制退去させることになります。
新緑虎ノ門法律事務所は、不動産問題に関して、虎ノ門・六本木・溜池山王・赤坂・新橋を中心にご相談を受け付けております。
まずはお気軽にお問い合わせください。
当事務所が提供する基礎知識
-
賃貸契約トラブル
■隣人トラブル 賃借不動産で騒音や悪臭などの隣人トラブルに悩まされている場合はまずは当事者間での話し合いや不動産の管理会社や不動産の所有者にご相談ください。そのような方法では解決できない場合であったり損害が発生しており損 […]
-
手付解除するには
まず手付とは、売買契約や賃貸借契約といった有償契約において契約の際に代金・報酬の一部支払以上の意味を込めて当事者の一方から他方に交付される有価物をいいます。要するに、実際の契約で定められた額以上(10〜20%程度)の対価 […]
-
近隣トラブル
近隣トラブルには騒音、悪臭、不法投棄、土地の所有権侵害など様々なものがあります。これらのトラブルに対しては法律上、不法行為に基づく損害賠償請求や当該行為の差止め請求などをすることが考えられます。 ■不法行為に基 […]
-
土地収用・用地買収
■用地買収用地買収とは公共事業に用いるために国、地方公共団体、公益事業者等の起業者が土地を買いとることをいいます。 用地買収は任意の形で土地を買収するものですが、用地買収の交渉が決裂したような場合には土地収用法に基づいて […]
-
住宅ローン問題の解決...
住宅ローンが支払えなくなってしまったような場合にはどうしたらよいでしょうか。住宅ローン問題の解決方法としては主に3つの方法があります。 ■返済条件の変更住宅ローンの返済が困難になってしまった場合にはまずは住宅ロ […]
-
相続問題
相続問題は誰しもが一度は経験するであろう重要な法律問題です。 しかしながら相続が行われるに際しては遺言の確認、相続財産調査、相続人調査、遺産分割協議、相続税の申告と納付といったような複数の複雑な手続きを行う必要があります […]
よく検索されるキーワード
“相談しやすい弁護士”を目指しています
不動産売買・賃貸管理・建物に関する法律問題はお気軽にご相談ください。
常にご相談者の立場に立ち、親身に迅速に対応いたします。
弁護士紹介
-
- 弁護士
- 斉藤 潤(さいとう じゅん)
-
- 所属
-
- 東京弁護士会
-
- 経歴
-
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
事務所概要
事務所名 | 新緑虎ノ門法律事務所 |
---|---|
所属 | 東京弁護士会 |
弁護士 | 斉藤 潤(さいとう じゅん) |
所在地 | 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-11-14 第2ジェスペールビル202号 |
電話番号 | 03-3500-4366 |
対応時間 | 平日 10:00~18:00(事前予約で時間外対応可能) |
定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日対応可能) |