契約不適合責任免責とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説
不動産取引などで重要になるのが契約不適合責任です。
どのような場合に契約不適合の責任が免除され、どんな影響があるのかを知りたいという方は多いのではないでしょうか。
本記事では、免責による効果や売主と買主、双方のメリット・デメリットについて解説します。
契約不適合責任の意味
商品やサービスが契約内容と異なる場合に売主が負う法的な責任を、契約不適合責任と呼びます(民法562条以下)。
品質基準や数量が期待値を満たさない商品を受け取った購入者を保護するために、民法で定められた重要な制度です。
契約不適合責任免責について
契約不適合責任は、事前に特約を結んでおくことで売主側の免責が認められています(民法572条、559条)。
不動産取引などでは、契約書の内容を入念に確認し、免責特約の有無や具体的な条件を把握しておくことが重要です。
買主にとって不利益になる
商品に不具合が発見された場合でも、免責特約があると購入者は保証を受けられなくなります。
特に不動産取引では、契約締結前に免責特約の存在や詳細な内容を入念に確認することが必要です。
特約の成立には双方の合意が必要になる
免責特約は売主と買主の明確な合意がなければ有効とはなりません。
ただし、購入者に不利な内容であっても一度同意した特約は法的な効力を持ち、契約成立後は内容の変更や無効にはできないため、事前の確認が不可欠です。
売主の立場によって免責条件が異なる
売主の属性によってそれぞれ異なる免責条件が適用されます。
売主の種類 | 免責条件 |
個人 | 当事者間で自由に設定することができる |
宅建業者 | 売却から2年間は売主は契約不適合責任を負う |
その他法人 | 引渡し後約1年間は売主は契約不適合責任を負う |
契約不適合責任の免責がもたらすメリット・デメリット
契約不適合責任の免責は、売主・買主にさまざまなメリット・デメリットが発生するので、詳しく見ていきましょう。
売主に発生するメリット・デメリット
引き渡し後の保証義務から解放される一方、売却価格の低下や成約までに時間がかかる可能性があります。
物件引き渡し後の修補や損害賠償のリスクから解放されることは、売主にとってメリットです。
しかし、同条件の物件と比較して購入検討者が減少する可能性があり、売却価格も低くなる傾向にあります。
将来、発生するであろう補修や改修も交渉条件となり、難航する可能性もあるため、周辺相場や市場動向を考慮した慎重な判断が必要です。
買主に発生するメリット・デメリット
物件価格を抑えた購入が可能になる一方、不具合への対応は全て自己負担になります。
買主自身が修理や改修が可能な場合、大きな経済的メリットとなるでしょう。
ただし、購入後に発見された不具合は全て対応しなければならず、予期せぬ問題が発生した場合でも、売主に保証を求めることはできません。
そのため、物件の状態を入念に確認し、将来的なリスクを見据えた判断が重要になります。
まとめ
契約不適合責任は、商品が契約内容と異なる場合の売主の責任を定めた重要な制度です。
免責特約の設定により、売主は責任を軽減できますが、その条件は売主の属性によって異なります。
取引を円滑に進めるためには、双方が免責条件の内容を十分理解し、慎重に検討することが大切です。
契約不適合責任について悩みや不安がある場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
当事務所が提供する基礎知識
-
テナント明け渡し・立...
テナントを自ら使用したい場合や、老朽化のためのテナントの再築、土地の別の方法による利用などを行いたいなどの理由から賃借人との間の賃貸借契約を解除してテナントを明け渡してもらいたいような場合はどのような方法をとるのが良いで […]
-
手付解除するには
まず手付とは、売買契約や賃貸借契約といった有償契約において契約の際に代金・報酬の一部支払以上の意味を込めて当事者の一方から他方に交付される有価物をいいます。要するに、実際の契約で定められた額以上(10〜20%程度)の対価 […]
-
不動産売買において告...
不動産取引における「告知事項」は、物件の価値を大きく左右する重要な情報です。本記事では、告知事項となる4種類の瑕疵(心理的、物理的、環境的、法的)や、告知義務の有無まで、物件選びで重要な知識を解説します。物件購入における […]
-
賃料の増額請求を拒否...
あなたが建物のオーナーであった場合、入居者に賃料の増額請求を拒否されてしまった場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。 賃料の値上げ請求はいつでも行うことができますが、実際に値上げをすることは入居者の同 […]
-
契約不適合責任に基づ...
民法には契約不適合責任というものが規定されています。これは相手方が提供した債務の内容が契約の内容に合致しないものであった場合に、追及できる責任のことを指します。具体的な内容としては、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、 […]
-
賃貸で起きやすい原状...
賃貸借契約終了時の原状回復費用については、通常使用による破損や経年変化によるものは貸主の負担、通常の使用方法を超える使い方によって生じたものは借主の責任とされています。 賃貸で起きやすいトラブルは、原状回復の範 […]
よく検索されるキーワード
-
エリアに関するキーワード
“相談しやすい弁護士”を目指しています
不動産売買・賃貸管理・建物に関する法律問題はお気軽にご相談ください。
常にご相談者の立場に立ち、親身に迅速に対応いたします。
弁護士紹介
-
- 弁護士
- 斉藤 潤(さいとう じゅん)
-
- 所属
-
- 東京弁護士会
-
- 経歴
-
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
事務所概要
事務所名 | 新緑虎ノ門法律事務所 |
---|---|
所属 | 東京弁護士会 |
弁護士 | 斉藤 潤(さいとう じゅん) |
所在地 | 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-11-14 第2ジェスペールビル202号 |
電話番号 | 03-3500-4366 |
対応時間 | 平日 10:00~18:00(事前予約で時間外対応可能) |
定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日対応可能) |